1. 【知っておこう】性の多様性と社会の現状

LGBTQ+という言葉を、あなたも一度は耳にしたことがあるかもしれません。

これは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、そしてその他の多様な性自認・性的指向を含む表現です。

性のあり方は本当に多様であり、そのすべてを尊重する社会を目指していくことが大切だと私たちは考えています。

性的指向と性自認は、以下のように区別されます。
 

残念ながら、LGBTQ+の方々は、まだ社会の様々な場面で誤解や偏見、そして差別に直面することがあります。

ありのままの自分で生きにくい社会の中で、彼らが抱える不安は想像以上に大きいものです。

そして、それは誰にでも訪れる「終活」においても例外ではありません。

2. 【LGBTQ+終活の壁】結婚できない課題とは？

現在の日本では、法律上、同性婚は認められていません。

憲法24条の規定などもあり、その解釈は議論が分かれるところですが、法律の規定がないことによって、パートナーとの暮らしに様々な不便や不安を感じている方がいるのは現実です。

特に「終活」に関しては、次のような具体的な不安に直面します。
 

同性カップルだからこそ生じる、このような具体的な不安の解決は、なかなか追いついていないのが現状です。

3．【もしもの時】法的な壁と遺骨問題

大切なパートナーを亡くされた時、「遺骨はどうなるんだろう…」という不安はとても大きいものです。

現在の日本の法律では、遺骨は「祭祀財産」の一部として扱われ、その所有権は、「祭祀主宰者（さいししゅさいしゃ）」に帰属するとされています（最高裁判例による）。
 

このように遺骨は祭祀主宰者に帰属します。

したがって、戸籍上の親族以外であるパートナーが遺骨を受け取りたいと考えているなら、「遺言書」でパートナーを祭祀主宰者に指定しておくことが極めて大切です。

民法上も最も尊重されるのは亡くなった方の意思ですから、生前にご自身の意思をはっきりと示しておきましょう。

4．【深い悩み】「血縁の壁」と納骨の現実

「愛するパートナーと、死後もずっと一緒にいたい」

そう願うあなたを阻む「血縁の壁」。

既存のお墓の制度が抱える現実をご存知ですか？

血縁関係にある先祖代々のお墓は、通常「血縁関係者のみ」が納骨される慣習が根強く残っています。パートナーは一緒に入れない…といった状況も現実に起こっています。
 

任意後見契約や死後事務委任契約、公正証書遺言などを作成しておくのが良いと言われることもありますが、これらが必ずしも万能ではなく、トラブルの危険性を完全に排除できるわけではないのです。

このように、戸籍上の「家族」を前提としたお墓の制度は、LGBTQ+の方々にとって大きな課題となっています。

5．【新しい選択肢】形式にとらわれない供養の形

現在の日本では、愛する人と一緒のお墓に入ることが難しいケースがあるのは事実です。

しかし、時代は常に変化しています。

家族葬や直葬が一般的になったように、「終活」や「お墓」に対する考え方も目まぐるしく変わってきています。

「お墓」という形式にこだわる必要は、もはやないのかもしれません。

樹木葬や海洋散骨といった選択肢が増え、「お墓に入ることが当たり前」という常識も少しずつ変化してきています。

「同性のパートナーと、同じ場所に眠りたい」そう願うなら、必ずしも「お墓」という形にこだわる必要はありません。

愛するパートナーと、同じ海で永遠の安らぎを得る、現代の終活で注目されているのが海洋散骨です。

海洋散骨は、故人の遺骨を海に還すという、とても自由で美しい葬送の形。
 

このような願いを持つ方にとって、海洋散骨は最高の選択肢となるはずです。

6. 【まとめ】「永遠」を見つけるために

LGBTQ+という言葉が広く社会に浸透し、多様な性のあり方への理解は少しずつ深まっています。

しかし、それでも終活という人生の重要な局面においては、まだまだ乗り越えるべき課題が残されているのが現実です。

戸籍や家族の形にとらわれず、愛する人と共に最期を迎えたいと願う方々の不安や悩みは、決して他人事ではありません。

あなたらしい人生を全うし、安心して「最期」を迎えること。

それは、誰もが持つ大切な願いです。

形式や社会の慣習に縛られず、ご自身の心に寄り添った選択をすることは、決してわがままではありません。

大切なのは、どんな背景を持っていても、誰もが等しく尊重される別れ方が選べる社会を目指すこと。

そのために、まずはあなたにとって最良の供養の形は何なのか、この機会に考えてみてください。