墓じまい後の墓石はどうなる?処分と再利用

撤去された墓石の行方と処分方法を解説
墓じまいで撤去された墓石は、その後どこへ行くのでしょうか。
墓石の撤去から処分・再利用までの流れと、実際にあった珍しい再利用例、墓じまい後の遺骨について解説します。
この記事はこんな方におすすめ
1.【背景】墓じまいと改葬が増えている理由

墓じまいを検討する家庭は珍しくなくなり、実際にお墓から遺骨を移す「改葬」の件数も増えています。
厚生労働省の「令和6年度衛生行政報告例」では、2024年度の全国の改葬件数は176,105件となりました。
法律上の「改葬」は、墓地に埋葬・埋蔵されている遺骨などを、別の墓地や納骨堂へ移すことを指します。
墓じまいに伴って改葬するケースも多くありますが、お墓から別のお墓への引っ越しなども含まれるため、改葬件数をそのまま墓じまいの件数と考えることはできません。
では、なぜお墓を整理したり、遺骨を別の場所へ移したりする家庭が増えているのでしょうか。
📌 お墓を継ぐ人がいない
✔ 子どもがいない、子どもにお墓の管理を任せたくないなど、将来の承継を考えて墓じまいを検討するケースがあります。
📌 お墓が遠く管理しにくい
✔ 実家の近くにあるお墓から離れて暮らしていると、墓参りや清掃、管理のために長距離を移動しなければならないことがあります。
📌 維持費や管理の負担を減らしたい
✔ 墓地によっては年間管理料が必要なほか、墓石の修繕や清掃などもあります。将来の管理まで考えて、お墓の整理を始める家庭もあります。
墓じまいをする理由は、費用だけではありません。
「自分たちの代までは管理できるが、その後は難しい」「遠方のお墓へ通い続けるのが難しくなった」など、家族構成や居住地の変化がきっかけになることもあります。
墓じまいをする場合は、墓石を撤去するだけでは終わりません。
墓地の管理者への連絡や必要な手続きを行い、中に納められている遺骨を今後どこで供養するのかを決めたうえで、墓石の撤去へ進むことになります。
2.【撤去】墓石を処分するまでの基本的な流れ

墓じまいでは、いきなり墓石を撤去するわけではありません。
墓地の管理者へ相談し、お墓に納められている遺骨を確認したうえで、必要な手続きと墓石の撤去を進めます。
📌 1.墓地の管理者へ相談する
✔ まずは寺院や霊園などの管理者へ墓じまいの意向を伝え、墓所を返還する際の条件や必要な手続きを確認します。
墓石の撤去方法や指定石材店の有無、墓所をどの状態まで戻す必要があるのかは、墓地によって異なります。
石材店へ依頼する前に、墓地側のルールを確認しておくと手続きを進めやすくなります。
📌 2.遺骨の行き先を決める
✔ お墓に納められている遺骨を別のお墓や納骨堂などへ移す場合は、移転先を決めて改葬の手続きを行います。
現在のお墓から別の墓地や納骨堂へ遺骨を移す「改葬」には、市区町村長の許可が必要です。
改葬許可の申請先は、現在遺骨が納められている墓地の所在地を管轄する市区町村です。
📌 3.閉眼供養について確認する
✔ 仏式のお墓では、墓石を撤去する前に閉眼供養を行うことがあります。寺院墓地では住職へ相談し、民営・公営霊園などでは宗派や家庭の考え方に応じて確認します。
閉眼供養は墓石撤去に必要な行政手続きではありません。
宗教・宗派や墓地との関係によって考え方が異なるため、「墓じまいでは必ず必要」と決めつけず、事前に確認しておくとよいでしょう。
📌 4.遺骨を取り出して墓石を撤去する
✔ 遺骨を取り出した後、石材店などが墓石や外柵、基礎部分を撤去します。
墓石は重量があり、墓地によっては重機が入れない場所もあります。
階段や狭い通路がある墓地では人力での搬出作業が増えることもあり、こうした条件は撤去費用にも影響します。
📌 5.墓所を整えて管理者へ返還する
✔ 墓石などを撤去した後は、墓地の規則や契約内容に従って墓所を整え、管理者へ区画を返還します。
どこまで撤去・整地する必要があるかは墓地によって異なるため、工事前に墓地の管理者へ返還条件を確認しておきましょう。
墓石を撤去する工事と、中に納められている遺骨を移す手続きは同じものではありません。
先に墓石の工事だけを決めるのではなく、遺骨の行き先や必要な手続きを確認してから撤去日程を決めると進めやすくなります。
こうして墓地から運び出された墓石は、そのまま別のお墓に使われるとは限りません。
では、撤去された大量の石材は、その後どこへ運ばれ、どのように処理されるのでしょうか。
3.【行方】撤去された墓石はどこへ行くのか

墓じまいで撤去された墓石は、墓地から運び出された後、石材の状態や処理業者によって選別・処理されます。
御影石などの墓石は硬く重量もあるため、不要になった石材を破砕し、再生資材として利用する方法があります。
📌 墓石を墓地から搬出する
✔ 解体した墓石や外柵などは、トラックなどで墓地から搬出され、石材を取り扱う処理施設などへ運ばれます。
📌 石材を細かく破砕する
✔ 再利用できる石材は破砕機などで細かく砕き、用途に応じた大きさへ加工されることがあります。
📌 砕石などとして再利用される
✔ 破砕された石材は、道路工事などで使用する路盤材や、土木工事に使用する砕石などへ再利用される場合があります。
墓石としての役目を終えても、石材そのものは土木資材などに再利用できる場合があります。
ただし、撤去された墓石がすべて同じ方法で処理されるわけではありません。実際の処理方法は石材の状態や地域、処理業者などによって異なります。
墓石の再利用は最近始まったものではなく、過去には現在とは大きく異なる使われ方をした例も残されています。
📌 福岡市・今津干潟で見つかった墓石群
2018年、福岡市西区の今津干潟で、潮が引いた際に多数の古い墓石が姿を現し、不法投棄ではないかと警察へ通報された事例があります。
ところが調査を進めると、近年捨てられた墓石ではありませんでした。
報道によると、1960年代に行われた護岸工事で、墓地整理によって不要になった墓石が護岸の資材として利用されたものとされています。
墓石には文字が確認できるものもあり、長い年月を経て護岸の一部から姿を現したことで、その存在が知られるようになりました。
今津干潟の墓石群は、半世紀以上前に行われた護岸工事に由来する事例です。
現在の墓じまいで、撤去した墓石を原形のまま海岸へ運び、護岸資材として使用することが一般的に行われているという意味ではありません。
現在は、撤去した石材を適切に処理し、再利用できるものについては破砕して砕石などへ再資源化する方法があります。
先祖のお墓として長く使われてきた墓石が、撤去後に砕かれることへ抵抗を感じる方もいるでしょう。
墓石を撤去する前に、どのような方法で搬出・処理されるのか石材店へ確認しておくこともできます。
そして、墓石の処分方法とあわせて確認しておきたいのが撤去工事の費用です。
同じ大きさに見えるお墓でも、墓地の場所や工事条件によって金額が変わることがあります。
4.【費用】墓石の撤去費用が変わる主な理由

墓じまいを考えるとき、気になるのが墓石の撤去費用です。
墓石撤去では「1㎡あたり○万円」といった目安が紹介されることもありますが、区画の広さだけで金額が決まるわけではありません。
墓石の大きさや石材の量、墓地まで重機が入れるかなど、現場の条件によって作業内容が変わります。
📌 墓石撤去の費用を左右する主な条件
| 確認する項目 | 費用が変わる理由 |
|---|---|
| 墓所の広さ | 区画が広く、撤去する石材が多いほど作業量が増えます。 |
| 墓石・外柵 | 墓石だけでなく、石製の外柵や墓誌なども撤去対象になる場合があります。 |
| 基礎部分 | 地中のコンクリート基礎まで撤去する場合は、解体作業が増えます。 |
| 重機の使用 | クレーンや小型重機が使えるかどうかで作業方法が変わります。 |
| 通路・階段 | 通路が狭い墓地や階段の多い墓地では、人力での搬出が必要になる場合があります。 |
| 搬出条件 | 墓所から車両までの距離が長いと、石材を運ぶ作業が増えます。 |
たとえば同じ広さのお墓でも、墓所のすぐ近くまで重機やトラックが入れる場合と、階段を使って石材を人力で運び出す場合では、必要な人員や作業時間が違います。
墓石だけでなく、外柵や墓誌、地中の基礎などをどこまで撤去するのかによっても見積額は変わります。
墓石撤去の見積もりを取る際は、墓石の解体・搬出だけでなく、外柵や基礎の撤去、石材の処理、整地などがどこまで含まれているのか確認しておきましょう。
金額だけを比較するより、工事範囲をそろえて比較した方が違いを判断しやすくなります。
📌 指定石材店がある墓地にも注意
✔ 民営霊園や寺院墓地などでは、墓石工事を依頼できる石材店が指定されている場合があります。
自由に石材店を選べない墓地もあるため、複数社へ見積もりを依頼する前に、墓地の管理者へ確認しておくとよいでしょう。
墓じまいでは、墓石の撤去工事以外にも費用が発生する場合があります。
遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す場合の費用、行政手続きに伴う費用、閉眼供養を行う場合のお布施などは、墓石撤去工事とは別に考えておく必要があります。
墓じまいの見積もりでは、まず現地を確認してもらい、「何をどこまで撤去する金額なのか」を見積書で確認しておきましょう。
そして墓石を撤去した後も、お墓に納められていた遺骨は残ります。
最後に、墓じまい後の遺骨をどのような場所へ移すことができるのかを見ていきましょう。
5.【遺骨】墓じまい後に考える遺骨の供養先

墓じまいで墓石を撤去しても、中に納められていた遺骨まで処分するわけではありません。
墓石の撤去とは別に、取り出した遺骨を今後どこに納めるのか、あるいは散骨するのかを決める必要があります。
墓じまい後の遺骨には、主に次のような行き先があります。
📌 別のお墓へ移す
✔ 自宅近くのお墓や親族のお墓など、別の墓地へ遺骨を移す方法です。受け入れ条件を確認したうえで、改葬の手続きを進めます。
📌 永代供養墓へ納める
✔ 寺院や霊園などが管理する永代供養墓へ納骨する方法です。個別に納骨する期間や、その後の合祀方法などは施設によって異なります。
📌 納骨堂へ納める
✔ 屋内などに設けられた納骨施設へ遺骨を納める方法です。使用期間や承継の条件、契約終了後の遺骨の扱いを確認しておく必要があります。
📌 樹木葬を利用する
✔ 樹木や草花などを墓標とする墓地へ納骨する方法です。個別型や集合型、一定期間後に合祀されるタイプなどがあります。
📌 海洋散骨を行う
✔ 遺骨を粉状にして海へ散骨する方法です。墓石や墓地を持たないため、散骨後に墓所を管理する必要はありません。
「墓石を撤去すること」と「遺骨をどうするか」は別の問題です。
先に遺骨の行き先を決めておけば、改葬許可など必要な手続きを確認してから墓石撤去の日程を組むことができます。
また、一つのお墓に複数人の遺骨が納められている場合、すべてを同じ場所へ移さなければならないとは限りません。
遺骨ごとに新しい納骨先を確認するなど、墓じまいを始める前に誰の遺骨が納められているのかを確認しておくことも大切です。
海洋散骨は、寺院や霊園などが遺骨を継続して管理する永代供養とは仕組みが異なります。
墓じまい後の方法を比較するときは、納骨して管理を任せる方法なのか、遺骨を散骨する方法なのかという違いも確認しておきましょう。
墓じまいでは、墓石の撤去、墓所の返還、遺骨の移動を順番に整理して進める必要があります。
撤去された墓石は、再利用できる石材であれば砕石などに再資源化される場合があります。
一方、お墓から取り出した遺骨には、別のお墓への改葬、永代供養墓、納骨堂、樹木葬、海洋散骨などがあります。
まず現在のお墓に誰の遺骨が納められているのかを確認し、遺骨の行き先を決めてから、墓地の管理者や石材店と墓石撤去について相談すると手続きを整理しやすくなります。
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